サプライチェーンネットワークの最適化

サプライヤー・生産工場・物流倉庫・販売先など、どの様な組み合わせでサプライチェーンのネットワークを構築するのが効率的か?

GIS(地理情報システム)の持つ機能の中には、拠点の最適配置分析を行う様な、交通ネットワーク解析に長けたソリューション(ArcGIS Network Analyst)もありますが、もう少しシンプルにかつ汎用性の高い形で、サプライチェーンネットワークの組み合わせを考える GIS 活用例のご紹介です。

GIS (地理情報システム)活用による全経路の算出

GIS(地理情報システム)には、交通ネットワークデータを活用したルート分析をはじめとするネットワーク分析が複数用意されています。その中でも、「OD コスト マトリックス解析」の様な起点と終点の全経路(移動距離や移動時間)を算出する機能もあります。もしくはシンプルに「ルート解析」の機能を連続的に処理させて、全経路(移動距離や移動時間)を算出することも可能です。

例えば、以下の地図の様な、港(赤▲)、中継拠点(青■)、配送先(緑●)の構成の中で、最短経路の算出について考えてみます。

港・中継拠点・配送先の位置関係
港・中継拠点・配送先の位置関係

冒頭に紹介した様な交通ネットワーク解析の機能を用いて、GIS 上で全経路(港 → 中継拠点 → 配送先の全パターン)の移動距離の算出を行いました。
地図上では(オレンジの)直線で描かれていますが、各直線には道路距離の情報が付加されています。

GIS の機能を用いることで、容易にこのような算出が可能となります、また算出した情報はデータベース上に格納されているため、地図上でのフィルタや、(Excel 等の)ファイルとしてエクスポートするといったことも可能です。

港 → 中堅地点 → 配送先の全経路パターンの算出
港 → 中堅地点 → 配送先の全経路パターンの算出

例えば、配送先を福島県でフィルタした場合の経路パターンを見てみます。
港 → 中継拠点 → 福島県 における経路パターンと移動距離を抽出した様子です。
水色で選択されている経路パターン(港 → 中継拠点 1 → 福島県)が最も移動距離が短くなる経路でした。データベースに情報が保管されているので、その他の経路パターンについても閲覧可能です。

配送先を福島県でフィルタした際の経路パターン
配送先を福島県でフィルタした際の経路パターン

全経路パターンの中で、各配送先に対して、最も移動距離が短い経路のみを抽出してみます。GIS の機能の中には、地図を介した分析だけではなく、一般的なデータベース同様に情報のソートや集約(平均・中央値・最大・最小など)が可能な機能もあります。
これらの機能を活用し、各配送先に対して、最も移動距離が短い経路のみを抽出しました。

各配送先に対して最も移動距離が短い経路のみを抽出
各配送先に対して最も移動距離が短い経路のみを抽出

この結果から「中継拠点 4」を介する最短の経路パターンは存在しないことが分かります。
もちろん移動距離だけではなく、中継拠点のキャパシティや保管可能な商材など中継拠点の機能性によっては敢えて「中継拠点 4」を選択するケースもあるかと思います、「中継拠点 4」を経由した場合の移動距離もデータベースに格納されているので容易に抽出することが出来るでしょう。

中継拠点4を経由する場合のみの移動距離抽出
中継拠点4を経由する場合のみの移動距離抽出

このように GIS を活用し、サプライチェーンのネットワーク最適化に向けて、全経路パターンの算出や最短経路の抽出を行うといった活用例でした。
サプライチェーンのネットワークを検討するにあたって、GIS 上で基礎的なデータを算出するといったシーンで活用可能かと思いますので、ご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

ArcGIS サプライ ェーンソリューション

以上がサプライチェーンネットワークの最適化に向けた最短経路の抽出でした。
「ArcGIS サプライチェーンソリューション」では、このような可視化・分析を行える機能に加え、サプライチェーンの可視化を行うダッシュボード機能や、防災・減災に向けたサプライチェーンのリスク管理ソリューションを兼ね備えています。また、ソリューションと併せて使えるデータも豊富に取り揃えております。ご興味がありましたら、「ArcGIS サプライチェーンソリューション」のホワイトペーパーも用意しておりますので(画面右上の「資料ダウンロード」より)ダウンロードしてみてください。

 

関連リンク