はじめに

プローブデータとは、車に備わっているカーナビやドライブデータなどのテレマティクス技術を用いて取得されるデータ(位置や速度など)のことを指します。

プローブデータを活用した交通量の把握

新たな拠点の設置、催事の計画では、どのエリア・場所で計画 及び実施するのかについて、周辺住民への配慮や渋滞対策を鑑みて、統計データ などを活用し候補地を選定するケースがあります。その様な際に、プローブデータを活用することで、時間帯ごとの交通量や平均車速を把握することが可能となり、候補地の選定における有効な情報となります。

こちらの動画は、道路交通量として、「ArcGIS Stat Suite 道路交通履歴統計」を活用した例となっています。季節や時間帯、曜日(平日・休日)ごとの交通統計が利用可能なデータとなります。
また、近年、3D 都市モデルの様な 3 次元データも扱いやすくなり、地図上でより現実世界に近しい形で交通量を把握することが可能となりました。

 

GIS を活用することで調査候補地の管理や現地での調査結果登録も可能に

GIS の活用は地図上にある情報を見るだけではありません。GIS を活用することで、実際に交通量調査を実施する場所や候補地の登録・管理や、スマートフォンなどからの現地調査結果の登録を行うことも可能です。登録された情報は部門間や複数メンバーを跨って共有することも出来るので、スムーズな情報共有に繋がります。

こちらの動画の例は、ArcGIS Online 上の標準機能を使ってや、登録された候補地点を別アプリで分析している例となります。スマートフォンから現地調査用アプリを作り上げることも可能です。どのアプリもノンプログラミングで構築しているものであり、スピード感をもって業務に適用することが可能です。

・交通量調査を実施する候補地の登録

・登録された候補地点の分析ダッシュボードアプリ

・スマートフォンでの表示

 

交通量をモニタリングし、イベントや催事前後の効果測定もGIS上で

イベント開催後や、催事前後での効果測定についてもプローブデータを活用することで可能となります。こちらの動画の例は、「道路交通オンラインサービス」を活用し、任意地点周辺のリアルタイムな通行量の把握や、渋滞度の把握を行っている様子です。ダッシュボードアプリを用いることで、地図とグラフを連動した形で分析することが可能となります。

・リアルタイムな通行量の把握

 

GIS 上で様々なデータを組み合わせ効率良くエリア特性を把握

今回の記事では、プローブデータを活用し道路の交通量を把握する例でしたが、GIS は様々なデータをレイヤー(層)として重ね合わせて使うことで、より効果的に任意地点やエリア特性を把握することが可能となります。

こちらの動画の例は、地図上に災害リスク(洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域)のデータを重ねわせた様子と、全国の人流オープンデータ(1km メッシュ)を重ね合わせた様子です。新たな拠点の新設 、催事の開催などにおいて、このようなデータも組み合わせることで、そのエリア・場所の関連性や傾向といった特徴を効率的に把握することが可能となるでしょう。

・洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域のデータの重ね合わせ


・人流オープンデータ(1km メッシュ)の重ね合わせ

 

まとめ

プローブデータと地図システム(GIS)を組み合わせることで、地図上で交通量の把握を行えることは勿論、それに加え、調査候補地の管理から、交通量の分析、現地調査登録、モニタリングまで一気通貫で行うことが可能となります。また、登録された情報は部門間や複数メンバーに跨って共有可能なため、従来の調査エリアの選定において、地図を紙で印刷して運用を行うや、現地調査の結果を別システムに改めて登録するといったケースがあれば、GIS 上で一元管理することで業務の効率化にも繋がることが期待されるでしょう。