配送サービスが行き届いていない地域を把握

GIS を活用することで、製品を小売店や顧客に届ける際に、配送センターから配送先に対して効率的な位置関係になっているかを把握し、評価することができます。配送センターは、なるべく多くの配送先に対してなるべく短時間で配送できるように配置することで配送コストを抑制し、配送速度向上により顧客満足度も向上させることができます。
下の図は、既存の配送センターから車で 3 時間以内にたどり着けない配送先をピックアップし、最寄りの配送センターに紐付けたものです。これらの配送先を効率的にカバーするために、最適な配送センターの位置を検討します。

配送センターの適地選定シミュレーション

地図上で各配送センターからの到達圏を描くことで、配送センターの A と B がカバーできる範囲の大部分が重複していることが分かります。重複部分を減らし、より多くの配送先をカバーできるように移転することで、配送の効率化が期待できます。そこで、配送センター B を新しい場所に移転する場合、どこが最適なロケーションとなるのかを分析します。

配送拠点の最適化を行うには、「適地選定シミュレーション」という手法が有効的です。複数ある候補地点の中から、配送センター B を移転した際に、顧客全体に配送するために必要な移動コストが最小となる候補地点を自動的に抽出します。今回のケースでは、候補地点とする箇所は、事前に用途地域の工業地帯に該当するエリア内のみに絞り込んでおきます。

候補地周辺の将来性の評価

適地選定シミュレーションの結果、3箇所の候補地が選択されました。3箇所でさらに詳細な分析を進めます。
配送センター周辺の将来性を評価するために、推計将来人口データを基にした、将来の人口増減マップを分析結果に重ね合わせます。下の図は、2015年から2025年にかけての推計の人口増加率を表したものです。その結果を見ると、候補地1周辺のみ人口増加傾向にあることが分かります。

最適な移転先の選定

配送センター B の移転場所を候補地 1 にした場合、車で 3 時間以内に配達ができない配送先は、移築前よりも約 10% 削減しました。それに伴い、配送コストも大幅に減少させることができました。このような検討を行い、配送コストに必要な経費を抑制するために、GIS は活用されています。

その他、ディストリビューションセンター(DC)であれば高速道路のICや空港との位置関係も考慮し、立地評価を行う必要があります。製品の生産から小売店や顧客に届けるサプライチェーンはグローバル化も進みより複雑化しております。サプライチェーンマネジメント(SCM)で物流の流れを精査、効率化する上でもGISの効果的な活用が求められています。