サプライチェーンの現状把握と最適化

災害発生時のサプライチェーン寸断リスク、グローバル調達によるいっそうの原価低減、さらにはグローバル連結経営管理の実現など、SCMへの重要性が高まりつつあります。このような場合にも、マップを用いて現状を分析・ビジュアル化することが有用なアプローチとなりえます。

連結グループの各製造拠点の分布状況をマップでビジュアル化し、あわせて1次仕入先、2次仕入先など、自社と取引関係のあるサプライヤーの製造拠点の分布状況や在庫管理状況もマップでビジュアル化します。さらには各仕入先からの仕入品目や品目数量、仕入価格等のデータを考慮し、自社との取引関係の構造を拠点ごとに明らかにします。このようなアプローチにより、自社におけるサプライチェーンの全体像を視覚的に明らかにすることができ、リスクの分析、コスト構造の分析など、自社SCMにおける課題と要因の分析をいっそう深く実施することができます。

サプライチェーンの現状把握と最適化

サプライヤーとの取引構造をビジュアル化することに加え、さらに資材・製品輸送時の移動距離や移動時間・輸送手法を含めたモーダルシフトのシミュレーション結果、Co2排出量の計算を行いカーボンニュートラルの推進、災害リスクや地政学的リスクなど各種リスクの分布、従業員の居住地など各種リソースの分布、市場分布の状況など、サプライチェーンに関連する複数の要因をマップ上で重ねあわせてビジュアル化すると、サプライチェーン最適化のカギとなる要因が何であるかを現実感をもって洗い出すことにつながります。

レジリエント(強靭)なサプライチェーンの構築

水害や震災等の自然災害をはじめ、自社のSCMに影響を及ぼす要因はさまざまです。レジリエント(強靭)なサプライチェーンを構築するためにも、マップ上でのビジュアル化と分析が効果を発揮します。

サプライチェーンに関する BCP(事業継続計画)を策定する際、まずは以下のステップにて事業継続上のボトルネックとなりえる箇所を特定することが一般的です。

  • 事象発生時におけるビジネス上のインパクトと程度の分析
  • 発生しうるリスクの識別と影響度の分析

その際に、サプライチェーンの全体像をマップ上でビジュアル化していると、供給が停止するとビジネスに甚大な影響をおよぼす品目とその拠点・サプライヤーはどこに立地しているか、その拠点・サプライヤーの立地箇所でさらされているリスク(地震発生リスク、河川氾濫リスクなど)は何か、そして想定被害規模はどの程度か、という問いに答えることが可能です。

以上の分析結果を踏まえ、サプライチェーン寸断時における代替調達先の確保や倉庫の分散、製造拠点の切り替え、輸送時の迂回経路の特定、人的リソースの手当てなどの BCP 発動時の実行内容を具体化します。マップを用いて実際の場所と紐づいて実行内容を具体化するため、高い実効性を有する BCP を策定することに貢献します。

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