ユーザーとの対話的なアプリ作成により業務が効率化

    ArcGIS プラットフォームの特徴

    建築工事、土木工事、不動産等の情報を一元的に管理し、社内のあらゆるシステムと連携する、部門を超えた
    GIS プラットフォームを構築

      課題

    • 海外の地図が参照できない
    • タブレット端末で参照できない
    • アプリ開発のコスト

      導入効果

    • スピーディーな地図アプリ作成
    • 全社的なデータとアプリの共有
    • GIS エンジンの統一による管理工数の削減
    • GIS の社内浸透

    概要

    株式会社フジタは大和ハウスグループの総合建設会社として、国内のほか、中南米やアジア圏等で数多くの施工実績を積み重ねている。
    同社では建築工事、土木工事、不動産等の情報を一元的に管理し、社内のあらゆるシステムと連携する、部門を超えた GIS プラットフォームを構築した。
    同社は日本国内の企業において、先進的に ArcGIS を組織の GIS プラットフォームとして導入し、部門横断的に様々な業務で活用されていることが評価され、2019 年(令和元年)の米国 Esri ユーザー会にて「SAG 賞(Special Achievement in GIS Award)」を受賞している。

    課題

    同社では従来から GIS を導入し、施工実績などを管理してきた。しかし、旧システムには以下のような課題が挙げられていた。

    ・海外の地図が参照できない

    国内地図しか入っておらず、海外の業務では使用できなかった。

    ・タブレット端末で GIS を参照できない

    同社では業務効率化の観点からデジタル化を推進する中で、全社員にスマートフォンやタブレット端末を配布している。旧システムはタブレット端末上で動作せず、今後利用を拡大していくには障壁となっていた。

    ・アプリ開発のコスト

    当時はあまり課題として認識されていなかったが、アプリ開発はベンダーに依頼しており、ゼロから開発されていた。そのため時間がかかり、開発費用も追加開発や機能拡張の度に数百万円を要していた。また、操作性の向上を求める声も社内から上がっていた。

    システム構成図

    ArcGIS 採用の理由

    最大の決め手はアプリを簡単に作成できることだった。旧システムで利用していた地図の更新時期を迎え、GIS を複数のベンダーから検討することになった。時を同じくして、別件で地図アプリの作成が必要になった。短納期だったが、ESRI ジャパンのセミナーで「ArcGIS Online なら簡単に地図アプリを作成できる」と聞いたことを思い出し、試しに ArcGIS でアプリを作成した。この際、身をもって作成の手軽さを感じ、採用に至った。

    そもそも ArcGIS を初めて導入したのはさらに数年遡る。海外の現場でも顧客に出す資料はもちろん、日本では当たり前の作業所案内図を作ることになり、利用できる海外地図を探していた。Google マップ等も検討したが、著作権による制約が課題となった。その調査の過程で ESRI ジャパンのセミナーに参加し、営業担当に話を聞いた。そして、印刷時に使用許可申請が不要で、全世界の地図が配信されている ArcGIS Online の背景地図から利用することとした。当時はメインで他社 GIS を利用し、海外地図が必要な際は ArcGIS Online を用いるというように 2 つの GIS を両立させていた。

    課題解決手法

    システムの移行には ESRI ジャパンのコンサルティングサービスを利用した。土木や建築、不動産の各 Web GIS アプリを社内の基幹システムと連携させた他、ArcGIS Web AppBuilder(Developer Edition)を利用して独自のウィジェットを作成した。
    それぞれのアプリは社内の同一プラットフォーム上に載せ、すべての社員や支店からアクセスできるようにしたことで重複投資を避けた。
    また、旧システムには多くの機能が搭載されていたが使われていない機能も多くあった。そこで、社内でアンケートを取り、旧システムの機能に優先順位を付けて機能を絞った。このように極力カスタマイズを避けることで、ArcGIS のバージョンアップに対応しやすくするとともに開発コストを抑える工夫をした。

    建築工事の施工中・施工実績

    効果

    ユーザーとキャッチボールしながらアプリを作成できることが一番大きな効果だと上原氏は語る。
    業者に作成を依頼する場合は、仕様を出し、設計から始まりと多くの時間が掛かる。ArcGIS ではノンプログラミングでアプリを作成できるので、自身で簡単に作成できるようになった。
    「こんなアプリが欲しい」と、ざっくりとしたイメージでユーザーが上原氏の元へ来ることも多いという。その時にある程度ものを作って見せると相手もイメージが湧き、イメージと違うところは修正する、というようにコミュニケーションを取りながら、細かいニーズに柔軟に対応できるようになった。結果として業務の効率化にも繋がっている。
    また、同一プラットフォーム上に各部門のデータが揃っているので、必要な組み合わせを考えながらアプリを作成、共有することもできている。
    さらに、Esri が ArcGIS Online 上に公開している様々な GIS データも、スピーディーにユーザーのリクエストに応えることに役立っている。従来はデータの提供元からデータを入手して GIS データに加工する手間が掛かっていたが、今では ArcGIS Online からデータを追加することで瞬時に完了する。
    運用については各部門の担当者が地図アプリから情報を更新しており、例えば不動産のアプリは営業担当者がポイントの追加から属性情報の更新まですべて行っている。

    今後の展望

    最近になり社内で GIS が認知され始めてきたという。2~3 年前は GIS の認知度が低かったこともあり、オンライン地図は担当物件のポイント 1 つと周辺のビル名等があれば十分であった。最近では、レイヤー(重ねる)という概念が認知され始め、GIS としての活用が進んできた。2019 年末頃からは特に引き合いが多く、営業担当者から提案ツールとして利用できないかという要望もある。
    また、自然災害が続く中で、ArcGIS Online の災害データを活用して、ハザードマップと同社の不動産や施工実績を重ねて社内で公開したり、災害後に施工物件の被害状況の現地調査に活用したりすることも考えている。
    「地図に残る仕事をしているのだから、地図をベースに色々なものを載せるのが筋」という考えの基、既存アプリのブラッシュアップに加えて、今後も GIS のさらなる活用が期待される。

    ある条件でプロットした取引先業者