理想的な店舗網にするために
戦略的に拡大した店舗網であっても、時代の流れとともに店舗それぞれを取り巻く環境が変化していくことで、店舗の統廃合や戦略的撤退を考える必要も生じてくるものです。その際の経営判断として、店舗の実績や店舗担当者の経験、勘をもとに考えることも多いでしょう。一方で経営判断の際に位置情報を活用することは、多くのデータから多面的な分析が出来るため、より根拠のある店舗網の構築を可能にします。
地図をもとに経営判断を行う場合、店舗周辺のデータをもとに店舗のパフォーマンスを把握し、その上で店舗網を再構築した場合の影響をシミュレーションすることが基本的な手順となります。ここでは ArcGIS Business Analyst を用いた理想的な店舗網の構築の一例をご紹介します。
各店舗のパフォーマンスを把握する
地図上で理想的な店舗網を構築する場合も、従来の方法と同様に、最初のステップとして店舗それぞれの現状を把握することが重要になります。
現状を把握するためのデータには、経営判断に必要な日々の売上や予算、ポイントカード等から取得した顧客情報、出店にかかった費用等が挙げられます。加えて、位置情報を活用すると、周辺地域の統計情報をもとにした地域特性や、競合店の位置関係、人流データを活用した時間帯別の集客状況などのデータも、店舗の現状の需要を把握するのに役立てることが出来ます。
ArcGIS Business Analyst では、それらのデータを地図プラットフォーム上に管理するだけでなく、特性がより見えてくるように加工するための分析用のツールが幅広く用意されています。また、レポートやダッシュボードのテンプレートも含まれており、簡単な操作で店舗ごとの現状を把握するレポートやダッシュボードの構築が可能です。
店舗網の再構築をシミュレーション
店舗それぞれの現状を確認したうえで、理想的な店舗網の構築に向けた業務においても、位置情報の活用は力を発揮します。例えば各店舗とその周辺のデータを加味して、統廃合による影響がより少ない店舗を導き出す適地選定シミュレーションも、戦略的撤退の意思決定に貢献することが出来るソリューションです。ArcGIS Business Analyst には、”自社店舗同士のカニバリゼーション”の状況を把握する「ロケーション・アロケーション」や、“近くて魅力度の高い店舗に顧客は吸引される”という理論の「ハフモデル」を活用して、店舗網を減らした場合の自店舗網の需要の変化をシミュレーションすることが出来ます。
なお、このシミュレーション方法は、今回の記事のような戦略的撤退だけでなく、店舗網を広げる際にどこに配置するのが最適かという場面でも活用可能です。また、エリアマーケティング以外の業務として、商品を保管する倉庫網をはじめとした物流拠点の効率化にも、活用できるソリューションです。
終わりに
ArcGIS Business Analyst には、分析フローに加えて、統計データや共有のための表現方法等、エリアマーケティング業務に不可欠な機能をご用意しています。そのため、自社で保有しているデータを取り込むだけで、今回の記事で紹介したシミュレーションをすぐに実行することも可能です。
今回の記事では店舗の統廃合に絞って活用法を紹介しましたが、エリアマーケティング業務に貢献する様々なソリューションや事例がございます。弊社サイトに様々掲載していますので、ご興味がございましたらぜひご覧ください。