車載カーナビ自体は 1984 年に BMW の車に搭載されたのが始まりだ。昨今では車載カーナビの 5 台のうち 4 台は HERE の地図コンテンツを使用している。Bing Maps や Yahoo がそうであるように、Garmin などに代表される多くのパーソナルナビゲーションデバイスを製造する会社も HERE を利用している。そして勿論だが、Esri の ArcGIS プラットフォームでも HERE の地図コンテンツが活用可能だ。
HERE はいったい何を使って世界をリードする地図ナビゲーションテクノロジーを作製しているのだろうか?答えは Esri の ArcGIS プラットフォームだ。
HERE トランスポテーションネットワーク GIS データベースを、ArcGIS を活用しアップデートする HERE社 シニア GIS データアナリストの Randy Pitura 氏
全世界がジオデータベースの中に!
HERE社は中核的な資産である、ナビゲーション製品に使われる道路情報を保存し維持することでレガシー築いてきたが、そこに ArcGIS は重要な役割を果たしている。実際に HERE には 1,200 名以上のジオグラフィックアナリストが全世界におり、ArcGIS を活用して 196 カ国に向けた高精度かつ最新の地図データを作製している。
約 80,000 ものリソースから取得される 3,000,000 ものアップデートをソフトウェアで管理することは至難の業である。2,000,000 以上ものフィーチャと何万もの道路属性情報を、収集、保持し、そして製品化するために、HERE にはプロセスの無駄をなくし合理化するソリューションが必要であった。
Esri との長い歴史と Esri のプラチナパートナーであることもあり、HERE は継続して ArcGIS を製品開発に活用している。作成・編集された大量のデータは導入したジオデータベースを使い管理を行なっている。この空間データストレージシステムを使い、一つの場所に統合したデータ管理を行い、デスクトップ、サーバー、モバイルの環境から組織内の誰でも活用できるようになっている。
グローバルエンタープライズへの適用
HERE は郵便番号と国勢調査境界、道路網、行政界、POIなどを含む、北米・APAC など地域に分かれたデータを提供しているが、製品開発の過程においてジオデータベースは全てのパーツを統合管理する環境として活用されており、完成されたデータは地球全体を網羅する一つのデータとなる。
ジオデータベースの活用により、大陸的なデータを作製することができ、 さらにプラットフォームやアプリケーション上にあるデータの管理がシンプルか直感的なものになった。
HERE は道路網データのルートを拡張するために、154 個もの異なるフィーチャクラスを収集しており GIS の世界においては、ナビゲーションとロケーションインテリジェンスなどに活用されており、実際に Esri が提供しているデータ製品、そして ArcGIS Online でも HERE の地図コンテンツが活用されている。
ストリートレベルデータを ArcGIS Online の HERE コンテンツと統合し、革命的なユーザエクスペリエンスを実現している。
その他の ArcGIS Online 上で利用できる HERE 製品には、継続的に交通情報がアップデートされ動的な活用が可能な HERE Traffic や、通行人ルートとサービスエリアの構築などに使われる HERE pedestrian content が含まれる。そして、近い将来には、現実的なストリートビューを活用できる Street Level Imagery(SLI) も、ArcGIS で活用出来るようになるだろう。
未来を地図化 – 3D と indoor
3D 情報を現実的な形に表現することが世界的なトレンドだが、HERE はその分野において最先端の技術を持っている。HERE においては、レーザー測量をすることで詳細な 3D 情報の収集を進めている。複数台の車両を走らせ幅員、道路標識からの距離、橋の高さの情報を含む車道ポイントクラウドを収集しており、ストリートレベルの情報として今後 ArcGIS Platform 上で活用できるようになり、自動車業界においては、ドライバーアシストシステムの強化へも適用出来るようになるだろう。道路の傾斜角・高さ・曲率の情報を含むデータは、自動車関連会社において、エンジン開発の適正化などに活用されることが期待されている。
HERE 交通センター本部 – 米国イリノイ州 シカゴ市
ナビゲーションとロケーションインテリジェンスは自動車だけに留まらない。 HERE では利用者が適な生活を送れるように、車外でのナビゲーション活用に向けてコネクテッドカーエクスペリエンの提供にも力をいれている。つまりは、毎日人々が多く訪れる公共施設の中を把握し地図化を行う要がある。「例えば、モール内などで特定の店舗への正確なナビゲーションなど、人々が目的地で面する最後の数メートルまでの課題の解決に我々は取り組んでいる。」 と、HERE社の Kolstad 氏言う。