背景

店舗網をいかに最適化していくか、という課題は小売業などの店舗を構える業態にとって永遠の課題です。各店舗にテリトリー制を導入しドミナント戦略を展開している企業において、テリトリー分析が最適な店舗網構築を手助けします。

既存店を加味した店舗網構築

関東周辺に約 50 店舗を展開するチェーン企業を想定します。各店舗の管轄テリトリーを表形式で管理していますが、表のままではテリトリーが効率的な配置や形状になっているか判断するのは非常に困難です。

既存店を加味した店舗網構築

既存店の管轄テリトリーの表示

GIS を用いて表データを地図上に可視化することで、テリトリーの配置や形状を俯瞰的に把握できるようになります。また、この会社では以下の基準をもとに出店を行ってきましたが、既存店が基準を満たしているかを再確認することもできます。

  • 管轄テリトリーは半径 4km 以内
  • 40,000 世帯以上を含む
既存店の管轄テリトリーの表示

市場ポテンシャルの把握

現在、出店していないエリアにおいて、出店できる余地があるかを把握するために市場ポテンシャル(世帯数)を表示します。既存店テリトリーと重ねてみると、市場ポテンシャルの高いエリアはすでに出店済みであることが分かります。

市場ポテンシャルの把握

テリトリー分析で出店余地を抽出

テリトリー分析には、一定の条件を満たした中で最適なテリトリーを構築する機能が存在します。今回はその機能を使用して、以下の条件で新たな出店余地を抽出します。

  • 既存店のテリトリーは変更しない
  • テリトリーの範囲は 4km 以内
  • 40,000 世帯以上を含む

分析の結果、上記の条件を満たしている「出店余地エリア」が都内近郊以外に埼玉県北部にも存在することが判明しました。また、出店に適さないエリアも明確になります。

テリトリー分析で出店余地を抽出

理想的な店舗網の構築

上記分析では、既存店のテリトリーを変更せずに追加可能なエリアを抽出しました。テリトリー分析では、既存店のテリトリーを加味せずに一定条件を満たす理想的な店舗網をシミュレーションすることも可能です。

以下の条件で理想的なテリトリーを構築しました。

  • 既存店のテリトリーは変更しない
  • テリトリーの範囲は 4km 以内
  • 40,000 世帯以上を含む
理想的な店舗網の構築

既存店のテリトリーを変更しない場合、現在の基準では出店余地として 12 地点が抽出され、合計約 896 万世帯までカバーできる計算になりました。一方、理想的な店舗網では約 941 万世帯をカバーするまで出店できる可能性があることを示しています。
このような分析を通じて、出店余地を探すだけでなく、店舗の統廃合も意識した戦略的な出店計画を構築し、店舗網の最適化を行うことが可能になります。

 

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