市場拡大、顧客開拓をバックヤードから支援
課題
- センター、エリアに対する車両数、労働時間などの適切なリソース配置
導入効果
- スピーディな計画立案を実現
- 時間短縮により、様々なパターンでのシミュレーションが実行可能となり、より質の高い結果を獲得
概要
![岡山 ALC](https://business-map.esrij.com/cms/wp-content/uploads/2018/07/2018_everlth_1.jpg)
岡山 ALC(エリア・ロジスティクス・センター)
エバルスは、医療用医薬品を中心に扱う国内最大規模の流通グループであるメディパルホールディングスの一員として、広島・岡山など中国 5 県で医療系取扱製品の卸売を実施している。
近年、病院、診療所、調剤薬局からの取引需要の増加に伴い、効率的な運送計画の立案や人員確保が急務となっていた。そのため、新たな物流センターとして、フルラインピッキングの上、顧客に一括で定期直送出荷を行う物流センターであるエリア・ロジスティクス・センター (ALC) の設立を検討していた。
ALC 設立の計画に伴い、顧客情報(位置や数量)を元にした物流センターと各エリアに対する配送車両および営業担当者の配置立案に向け、ArcGIS Network Analyst と直感的な操作性を提供するアプリケーションである SUNMAP for VRP (以下 VRP) の利用が決定した。これらの導入により、配送先、配送車両、配送可能時間帯など様々な要素を組み合わせ、スピーディに運送計画を立案できるようになった。
今後は、さらなるリソース配置の最適化を実施していくとともに、GIS を活用した市場拡大、顧客開拓を進めていく予定である。
課題
2015 年 9 月に着工され 2017 年 3 月から稼働を開始した「岡山 ALC」は、ゼロから構築した「新設の物流センター」である。岡山 ALC の開業目的は、以下の課題を解決するためであった。
1) 採用を含む必要な配送担当者の確保
2) 配送車両の確保
3) 上記を計画する為の「効率的な配送計画」の立案
岡山 ALC が担うエリアは、既存の営業担当者約 70 名の管轄範囲に相当する。リソースの適正化を進めるためには、まずは顧客情報と現在のルート、時間などの運用状況に関する情報が必要であり、当該情報をもとに、全担当営業が一同に会した試算・検討が必要である。しかし、コストや時間的側面から実現が困難であり、別の手段を講じる必要があった。
ArcGIS 採用の理由
エバルスでは、配送先の増加を見越した定期的なリソース配置計画の見直しの必要性や、属人的な要素を排除し、簡単に利用できる仕組みの構築が必要であった。
そこで、検索エンジンとして交通ネットワークに基づいた空間解析を実行、提供する ArcGIS Network Analyst を導入した。さらに、「複数」のセンター、車両、配送先へ効率的な配送シミュレーションを提供するユーザーインタフェースを備えた VRP を利用することにした。
世界中で多数の導入実績があるエンジンを用いることで、配送先、配送車両、時間帯、道路規制を意識したシミュレーションを行うことが可能となり、信頼性の高い配送計画を提供することができるようになった。
課題解決手法
![岡山 ALC](https://business-map.esrij.com/cms/wp-content/uploads/2018/07/2018_everlth_3.jpg)
岡山 ALC(エリア・ロジスティクス・センター)
「配送先」「配送車」「配送センター」の情報は、CSV 形式で VRP のインタフェースを介して ArcGIS Network Analyst へ投入され、VRP の基本機能で以下が実現された。
・ワンクリックで全車両の経路最適化
・日次、週次、月次、年次計画立案
・最適な管轄エリア割の実現
・住所から顧客位置を自動プロット
・顧客単位で条件設定(配送可能時刻、作業時間設定、荷物量など)
・車両単位で条件設定(開始終了時刻、発着センター指定、積載量など)
・休日指定
・解析結果、配送計画の共有
(配送車ごとの配送順と地図によるルートを外部出力(CSV または html 出力))
![SUNMAP for VRP(アプリケーション)の画面](https://business-map.esrij.com/cms/wp-content/uploads/2018/07/2018_everlth_2.png)
SUNMAP for VRP(アプリケーション)の画面
効果
今回の導入でエバルスでは、特に、車両配置の部分で VRP の効果を得ることができた。全営業担当が一同に会す人件費と、立案したエリアや車両数の計画の妥当性確認に、約 500 時間が必要との試算であったが、VRP を利用することでそれを 10% 以下に抑えることができるようになった(営業担当から顧客情報を収集する時間は除く)。
さらに、今後、定期的に実施するエリア・リソース配置の適正検証においても、活用を予定している。高効率なリソースの再配置による労働時間や燃料費といったコスト削減により、リソースを顧客獲得などに当てた攻めの経営を行うことで、売上や利益拡大が期待されている。
今後の展望
今後も引き続き、顧客ニーズに対して常に最善の対応ができるよう、センター間でのリソースの最適化を視野に、業務効率化、リソースの適正配置を進めていく予定である。また、ArcGIS Business Analyst の利用など、営業、マーケティング観点で GIS を活用した市場の拡大、顧客開拓を行っていく。