Esri Business Analystと空間統計、人口統計データを活用

課題

  • 経営強化と業務改善を目的とした、再現性と一貫性のある空間情報分析プロセスの構築

導入効果

  • 情報に基づいた客観的視点、決断、再現性、一貫性、効率化を実現
  • 導入以降2年間で、$750,000以上の経費削減を実現

概要

ウェンディーズ(Wendy’s)は、オハイオ州ダブリンに本社を置き、世界27ヶ国に6,500以上のフランチャイズ店舗とレストランを経営するファーストフードハンバーガーチェーンだ。ファーストフードの専門誌であるQSR誌のランキング(2012年度)によると、総売り上げ部門ランキング第4位(バーガー部門で第2位)、総レストランランキング第7位(バーガー部門で第3位)を占める。この素晴らしい業績をさらに強固にすべく、2013年に社内のITシステムとしてEsri Business Analystを導入し、GISと空間統計、人口統計データの活用を開始した。

背景

ウェンディーズでは、経営強化と業務改善にむけ、再現性と一貫性のある空間分析プロセスの構築を必要としていた。例えば、空間情報の可視化から戦略レポートの作成、客観性のある不動産評価、消費者行動への理解、ブランド力の強化が挙げられる。

導入手法

Business Analystは既存システムのリプレイスに伴い導入された。新しいソリューションには、サーバGISアプリケーション、人口統計データ、カスタマイズ分析ツールが盛り込まれ、出店候補地の審査や市場評価プロセスの効率化と強化が図られた。主に不動産部門で積極的な活用が進められている。

ウェンディーズでは、環境によって人々の行動パターンが異なることに着目し、人口密度と雇用状況を基に地域の差別化を開始した。都市部、郊外、地方都市の中心地、周辺部といった「場所」と「環境」から人々の行動の違いを把握し、環境によって売り上げや業績に違いがあることを突き止めた。今では、その要因が人口動態なのか、競争力なのかといった分析ができるようになっている。また、デスクトップとPythonスクリプトを使って予測モデルを実行して既存店と新規出店候補地を比較し、条件に合わない候補地の除外にも利用している。

 

メンバーズカードを発行していないウェンディーズでは、顧客情報の収集にEsri社のタペストリーセグメンテーション(※)を利用している。これは、米国民を67のセグメントに分類し、各セグメントに属する人々が来店しそうかどうか把握できるというものだ。位置情報をベースに予測モデルと実績を比較したところ、人口統計データとセグメントは必ずしも一致しないこと、また、予測モデルはある条件の下では多く見積もる場合があることが分かった。多くのデータが集まるにつれ、顧客についてより深く理解できるようになってきた。

導入効果

Business Analystの導入で、情報に基づいた客観的視点、決断、再現性、一貫性、効率化がもたらされている。これにより、2013年の導入以降2年間で、$750,000以上の経費削減を実現した。

まとめ

分析のためのデータ量が豊富なカナダの店舗にもGISを活用したノウハウを適用していく予定だ。さらに、消費者データの視覚化、売上配分、潜在需要、顧客分析、ブランド強化等、さらなる地理空間情報の活用を進めていく。

※タペストリーセグメンテーションは、米国の居住地域を社会経済や人口構成を基に67のセグメントに分けたデータ。セグメントは、「生活様式」14グループと、似たような特徴を持つ「市街地域」6グループにさらに細かく分類されている。