市場拡大、顧客開拓をバックヤードから支援

課題

  • センター、エリアに対する車両数、労働時間などの適切なリソース配置

導入効果

  • スピーディな計画立案を実現
  • 時間短縮により、様々なパターンでのシミュレーションが実行可能となり、より質の高い結果を獲得

概要

岡山 ALC
岡山 ALC(エリア・ロジスティクス・センター)

エバルスは、医療用医薬品を中心に扱う国内最大規模の流通グループであるメディパルホールディングスの一員として、広島・岡山など中国 5 県で医療系取扱製品の卸売を実施している。
近年、病院、診療所、調剤薬局からの取引需要の増加に伴い、効率的な運送計画の立案や人員確保が急務となっていた。そのため、新たな物流センターとして、フルラインピッキングの上、顧客に一括で定期直送出荷を行う物流センターであるエリア・ロジスティクス・センター (ALC) の設立を検討していた。
ALC 設立の計画に伴い、顧客情報(位置や数量)を元にした物流センターと各エリアに対する配送車両および営業担当者の配置立案に向け、ArcGIS Network Analyst と直感的な操作性を提供するアプリケーションである SUNMAP for VRP (以下 VRP) の利用が決定した。これらの導入により、配送先、配送車両、配送可能時間帯など様々な要素を組み合わせ、スピーディに運送計画を立案できるようになった。
今後は、さらなるリソース配置の最適化を実施していくとともに、GIS を活用した市場拡大、顧客開拓を進めていく予定である。

課題

2015 年 9 月に着工され 2017 年 3 月から稼働を開始した「岡山 ALC」は、ゼロから構築した「新設の物流センター」である。岡山 ALC の開業目的は、以下の課題を解決するためであった。
1) 採用を含む必要な配送担当者の確保
2) 配送車両の確保
3) 上記を計画する為の「効率的な配送計画」の立案
岡山 ALC が担うエリアは、既存の営業担当者約 70 名の管轄範囲に相当する。リソースの適正化を進めるためには、まずは顧客情報と現在のルート、時間などの運用状況に関する情報が必要であり、当該情報をもとに、全担当営業が一同に会した試算・検討が必要である。しかし、コストや時間的側面から実現が困難であり、別の手段を講じる必要があった。

ArcGIS 採用の理由

エバルスでは、配送先の増加を見越した定期的なリソース配置計画の見直しの必要性や、属人的な要素を排除し、簡単に利用できる仕組みの構築が必要であった。
そこで、検索エンジンとして交通ネットワークに基づいた空間解析を実行、提供する ArcGIS Network Analyst を導入した。さらに、「複数」のセンター、車両、配送先へ効率的な配送シミュレーションを提供するユーザーインタフェースを備えた VRP を利用することにした。
世界中で多数の導入実績があるエンジンを用いることで、配送先、配送車両、時間帯、道路規制を意識したシミュレーションを行うことが可能となり、信頼性の高い配送計画を提供することができるようになった。

課題解決手法

岡山 ALC
岡山 ALC(エリア・ロジスティクス・センター)

「配送先」「配送車」「配送センター」の情報は、CSV 形式で VRP のインタフェースを介して ArcGIS Network Analyst へ投入され、VRP の基本機能で以下が実現された。
・ワンクリックで全車両の経路最適化
・日次、週次、月次、年次計画立案
・最適な管轄エリア割の実現
・住所から顧客位置を自動プロット
・顧客単位で条件設定(配送可能時刻、作業時間設定、荷物量など)
・車両単位で条件設定(開始終了時刻、発着センター指定、積載量など)
・休日指定
・解析結果、配送計画の共有
(配送車ごとの配送順と地図によるルートを外部出力(CSV または html 出力))

SUNMAP for VRP(アプリケーション)の画面
SUNMAP for VRP(アプリケーション)の画面

効果

今回の導入でエバルスでは、特に、車両配置の部分で VRP の効果を得ることができた。全営業担当が一同に会す人件費と、立案したエリアや車両数の計画の妥当性確認に、約 500 時間が必要との試算であったが、VRP を利用することでそれを 10% 以下に抑えることができるようになった(営業担当から顧客情報を収集する時間は除く)。
さらに、今後、定期的に実施するエリア・リソース配置の適正検証においても、活用を予定している。高効率なリソースの再配置による労働時間や燃料費といったコスト削減により、リソースを顧客獲得などに当てた攻めの経営を行うことで、売上や利益拡大が期待されている。

今後の展望

今後も引き続き、顧客ニーズに対して常に最善の対応ができるよう、センター間でのリソースの最適化を視野に、業務効率化、リソースの適正配置を進めていく予定である。また、ArcGIS Business Analyst の利用など、営業、マーケティング観点で GIS を活用した市場の拡大、顧客開拓を行っていく。