飲料メーカー営業の A さんが自社新商品の飲料を小売り X 社のバイヤー担当に売り込むための提案を行うこととなりました。自社の新商品の特徴や小売り X 社の特性を活かして相乗効果での売上に貢献するプレゼン資料を作成しなければなりません。

□ 自社新商品の特徴と提案概要

若年主婦をターゲットに近年の健康ブームもありオーガニックなカファラテを開発しました。今回はそのオーガニックカファラテ Z を中心とした販促キャンペーンを企画します。

□ ターゲット

20 代 ~ 30 代、女性、主婦、料理好き

□ ペルソナ

高田真由子 32 歳 女性
専業主婦 都内在住
夫、長女(5 歳)、次女(3 歳)の 4 人家族
料理、カフェめぐりが趣味
Instagram や Twitter で料理系のアカウントを日頃チェックしている
友人とのやり取りでは LINE、Facebook を使用することが多い

□ 販促キャンペーン内容検討

◇案 オーガニックカファラテ Z × 人気シェフ〇〇がオススメするスィーツ セット割引
20 代 ~ 30 代の女性で日ごろから SNS を活用していることもあり、Instagram と Twitter にセット割引の広告を載せます。あわせて高品質な商品を中心に都内でスーパーを展開している小売り X 社の店頭でマネキンによる試飲も試みます。

ところで試飲に効果のありそうな店舗はどうやって抽出できるでしょうか?

都内で高品質な商品を中心に展開している小売り X 社の商圏を調査して、もっとも有効な特徴をもつと思われる商圏の店舗を調べていきます。

◇ステップ 1
飲料メーカー営業の A さんは、得意先の小売り X 社の店舗とその住所リスト、前月の自社商品の卸価格などのリストを持っていたとします。このリストをエクセルなどで整形して CSV で出力します。

CSV リストイメージ)
店舗名、住所、前月卸価格(万円)

◇ステップ 2
住所より商圏分析ソフトを利用してジオコーディング(※住所から座標に落とす処理を言います。)します。おおよその市販の商圏分析ソフトにはジオコーディング機能があるかと思います。mapDISCOVERY では CSV を指定して、住所欄を指定しさえすれば簡単に地図上に店舗を落とせます。

◇ステップ 3
店舗から商圏を設定します。商圏の設定方法はいくつかあります。
・同心円(店舗を中心に直線距離を測る)
・移動手段別の到達圏(徒歩、自転車、車などで移動する時間を指定した到達圏)
・距離別の到達圏(道路を考慮した距離の到達圏)

例えば若年主婦であれば移動手段を自転車 5 分と仮定した到達圏で商圏を設定してみます。

移動手段を自転車 5 分と仮定)

作成した商圏)

◇ステップ 4
20 代 ~ 30 代の若年主婦を探します。市販の商圏分析ソフトには統計データも込みで入っている場合が多数です。mapDISCOVERY でも統計データはいくつか存在します。

評価したい統計指標を選択)

ここでは 30 代女性の住んでいる数の多い商圏上位 5 エリアをピックアップします。

商圏内に住む 30 代女性の多いエリアランキング)

巣鴨にある店舗が 30 代女性のもっとも多い地域であることが分かります。以下、笹塚店、日本橋店、幡ヶ谷店、東中野店と続きます。

もちろん女性の居住人口の多いだけでは、主婦かどうかまで判別できません。国勢調査には世帯数などの指標も存在しますので、世帯数 4 人とか別指標も加味した上での商圏特性をつかんでいく作業も必要になってきます。また、女性の嗜好分析まで踏み込んではいませんが国勢調査以外のデータも駆使していけば嗜好までたどっていくこともできる世の中になってきています。(もちろん個人を特定しない形での分析です。)このあたりの嗜好とかに関してはまた別の機会に紹介したいと思います。

□ 販促キャンペーン提案書の作成

ステップ 1 からステップ 4 で把握した得意先店舗の商圏特性よりマネキンにより試飲キャンペーンを展開すべき候補上位 5 店舗を決定できましたら、統計情報とあわせて提案書に盛り込めば小売店のバイヤーへの説得材料として、より効果が出てきます。

現実の販促キャンペーン提案ではアイデア出しを 100 通り出してみたり、商品の売上を加味したより高度な分析を試みてみたりと記事のストーリーのような単純な作業にはならないと思いますが、ちょっと提案書の裏付けをしたい、とか気軽に統計情報を取得したいなどの用途はあると思います。そんな際に簡単に商圏を把握できる mapDISCOVERY などはいかがでしょうか。

■ 商圏を読み解くコラム シリーズ