スタンダードなデータとはすなわち国勢調査(最新は平成 27 年)です。商圏分析と呼ばれている中で最もよく使われるデータとなります。国勢調査は、日本に住んでいるすべての人と世帯を対象とする国の最も重要な統計調査で、5 年ごとに実施されます。国勢調査では、年齢別の人口、家族構成、働いている人や日本に住んでいる外国人などの結果を提供しています。
人口、世帯、就業、住居などの情報をインターネット上で公開されています。データの形式は CSV ファイルやエクセルファイル、行政の境界などはシェープファイルなどで公開されています。

□ 単位

公開されている面データの中で最も細かい単位は小地域と呼ばれる町丁・字単位となります。もっと細かい範囲はないのか、といった意見も出てきそうですがこれに関してはまた別の機会に紹介したいと思います。他にデータ項目によって公開されていたり公開されていなかったりする(※公開されていない場合は有償で購入も可能)データとして、メッシュ単位のデータもあります。通常は、500m メッシュという 2 分の 1 地域メッシュ(または、4 次メッシュ)と呼ばれています。さらに基本単位区といったデータもあり、こちらは、街区もしくは街区に準じた小区画からなる、国勢調査結果の集計上の最小の地域単位で、町丁・字等別集計に比べて、さらに詳細な分析が可能です。ただし、基本単位区は 1 点の座標としての提供になるので面としてのデータはありません。
基本単位区で分析するとより詳細なデータ分析ができますが比較的大量のデータを扱うため、少し高価なソフトウェアを必要とします。


□ データの種類

国勢調査で扱っているデータの種類は簡単な分類ですが以下が存在します。

・人口(5 歳刻みの各世代ごとの人口)
・世帯(世帯別の家族構成など)
・住居(世帯に含まれ、持ち家や借家、戸建てや共同住宅といった区分ができます。)
・就業(就業者数、労働人口など)

□ 店舗出店時に地域特性をつかむ

店舗の出店検討時にどこまで厳密に地域の特性を調査すべきか様々な議論があるかと思いますがここでは簡易的・直感的に特性をつかむ方法を紹介します。

例)駅近くの繁華街と閑静な住宅街

国勢調査を活用して任意の地域に商圏を設定して地域特性をつかんでみましょう。
例えばある地域に同心円 1km の商圏を設定します。


以下の図より設定した商圏の特性として、東京都全体の特性と比較して単身者で 30 代 ~ 40 代のミドル層が多い、といったことが分かります。下記の判断にはもちろん国勢調査のデータが活用されて判断に至っています。20 代 〇人、30 代 〇人といっただけでは数値を読み取り、人が考察していく、といった過程をたどりますが、このように若年、ミドル、シニア、単身、夫婦、ファミリーといった人口や世帯を分かりやすく分類していくとより地域特性を直感でつかむことが可能になってきます。


生データをそのままダウンロードしてもなかなか傾向をつかむことは容易ではありません。少し宣伝文句になってしまいますが、mapDISCOVERY ではいちいちユーザーが生データを加工してソフトウェアにインポートして、複雑な設定をして結果を分析させるといった面倒な作業をさせることはありません。商圏を設定して地域特性を見る、といった手順だけで任意の地域特性を直感的に把握できます。

次回以降はフレッシュなデータの代表として動態データを扱いたいと思います。

■ 商圏を読み解くコラム シリーズ