駅前のスーパー、住宅街のスーパー、駅ナカ、オフィスの自販機、郊外のショッピングモールなど商圏の大きさや特色は様々です。

□ 駅に直結するお店

どこかへ行く、あるいは、どこかから帰ってくる人々が立ち寄ることができます。ふらっと立ち寄って軽食を取ることのできるお店が多いです。


□ 駅近くのスーパー

帰宅時に必ず通ることのできる立地です。近隣にくらべて営業時間は夜遅めです。平日仕事帰りの人が立ち寄って晩御飯や翌日の朝食用に食品を買っていく、といったケースが想定されます。


□ 住宅街のスーパー

住宅街のど真ん中などにあるスーパーは、近隣世帯をターゲットにしているところが多いです。平日は専業主婦を中心に土日はファミリーでお買い物といったケースが想定されます。住宅街なので比較的営業時間も早めです。


□ ショッピングセンター

駐車場が充実していて土日にマイカーでまとめ買いするファミリー向けです。複合施設ですので、本、洋服、ドラッグ、100 円ショップといったほかの業態もあって必要な日常品は揃えやすいです。


このように 1 つの町でも駅からの距離、施設の規模、駐車場の有無、小売りの業態によって商圏範囲は様々です。任意のエリアの商圏特徴を知りたいと言ったときに商圏範囲を設定する必要が生じますが、特長を吟味したうえで商圏の範囲を設定する必要が生じます。

■ 業態別商圏の範囲

業態別の商圏の範囲を紹介します。ここにある数値はあくまで目安で都市部と地方ではまた異なっている場合があるでしょう。

表にあるコンビニエンスストアはもっとも小さな商圏として挙げておりますが、例えばオフィスの自販機といった数十メートルの商圏も世の中には存在します。

駅前ほど売場面積が小さくて郊外に行くほど大型の売り場面積の大きな店舗になり、また都市部と比較して地方中核都市を核とする田舎のほうが店舗は大きくなり、商圏は徒歩や自転車で行ける距離から車が必須となってくる距離になります。

都市部では駅を中心として一体の町が形成されていますが、田舎では大きな店舗の中に食料品から医薬品、衣料、家電まで揃う地域の核となる店舗はまだまだ存在します。

大企業を中心に最近ではテレワーク(情報通信技術を活用し時間や場所の制約を受けずに柔軟に働く形態)の実験を行うところまで出てきました。今後の働き方・暮らし方次第で新しい小売りの業態も出てくることでしょう。それでも商圏の設定に関する考え方は変わりません。来店手段や取り扱う商品でおのずと決まってきます。


商圏範囲が定まった上で商圏上の特性をつかんでいく作業があります。商圏が大きくなるにつれて特性もぼやけてくる可能性もありますが、時間帯や曜日、商品の売れ方によってはなんらかの特徴が出てくることもあります。大事なのは、必要な商品を必要な人に必要な時間に適切に提供する、といったことです。

次回以降で商圏特性の調査方法を説明していきます。

■ 商圏を読み解くコラム シリーズ